私たちが使う砂糖について

2023年01月26日

基本食材を選ぶ基準

お菓子作りに使う基本食材には砂糖、小麦粉、卵、バター、牛乳などがあります。ほとんどすべてのレシピに使うので他の食材との相性も考えなくてなりません。そこで味わい、国産であること、主張が強すぎないことを基準として砂糖を選びました。「味わい」お菓子を作るもっとも大切なこと。シロップやキャラメルなどシンプルなパーツを作る場合砂糖そのものの味わいがストレートに出ます。こくやうまみを感じることができる砂糖が理想的です。「国産であること」ルーツが分かることもとても大切。どこでどのように作られているかを知ることは作るひとにも食べるひとにも安心につなげることができます。「主張が強すぎないこと」砂糖はいろんな食材と組み合わせて使用します。砂糖そのものの味わいが他の食材の個性を打ち消してしまっては美味しいお菓子にはなりません。なのでうまみはあるけれど味が強すぎないものが私たちの求めている砂糖なのです。この3つの条件にぴたりと当てはまる砂糖を探して私たちが選んだのは選んだのは「甘蔗分蜜糖」でした。

甘蔗分蜜等とは

私たちが使っている砂糖は「甘蔗分みつ糖」というもので鹿児島県の種子島で作られています。薄茶色で水分量が多くしっとりしています。なぜこの砂糖を使うかというと、国産のサトウキビ100%が原料で輸入の粗糖の混入などはなく、どこで取れたものか、どこで精製されているかが分かるものだからです。その他にも良いところがたくさんあります。低精製のため成分、風味がより多く残っていること、抗酸化力、制ガン作用等が期待できる「ポリフェノール」の含有量が他の砂糖に比べて多いこと、コクがあるため、少量でも甘味が出せ、砂糖消費量を抑えることができることです。

砂糖の精製方法

砂糖は精製方法から「含蜜糖」「分蜜糖」の2種類に分類されます。含蜜糖は原料から抽出した糖汁を煮詰めて作られ、ミネラル分も原料から除去されることなく豊富に含まれているのが特徴です。黒糖やメープルシロップ、きび糖などのことをいいます。分蜜糖は遠心分離機などを使い、砂糖の結晶と蜜を分けて結晶だけを取り出した砂糖のことをいいます。粗糖(原料糖)、上白糖、グラニュー糖などがそれにあたります。栄養価が高いのは含蜜糖ですが、私たちが使っているのは生活に根付いている身近な砂糖である分蜜糖。その中でも低精製の甘蔗分蜜糖をベースにお菓子作りをしています。

お菓子作りに選ぶ理由

ただお菓子作りには分蜜等の中でもグラニュー糖など溶けやすく色もつかない砂糖が好まれるのも事実です。甘蔗分蜜糖はパティシエとしては水分が多いわり溶けにくいので少し使いづらいところもあるのですが、口にするものなので吟味して納得し自信を持って使える食材を使おうと思い、この砂糖を選びました。でも使いづらいばかりではありません。水分量が多いのでスポンジを焼くとしっとりとした仕上がりになり、使用量をを抑えながらもしっかりと甘さを感じることができる、キャラメルはコクと深みのある味わいになる、など「美味しい」につながる特性がたくさんあります。また、私たちのお店ではフルーツを多用します。フルーツはそのものが持つ甘さや香りが魅力的な食材ですが、それを邪魔せず少しの使用量でそこにコクと甘みを加えてくれるような裏旋律を担ってくれる砂糖だからこそ甘蔗分蜜糖を使っています。